てのひらの闇

何かのコラムで紹介されていた本で、とりあえず買ってしばらく枕元に積んでおいたものだ。主人公は同じだが各々の話は1冊で完結している。不覚にも1冊目の後半になるまでこれが推理小説だと気がつかなかった。と言うのも、殺人事件があってその犯人や手口を暴いていく、と言う流れではかなったからだ。ある事件があって、その際本人を含めてまわりの人間は一体何を考えどう行動したのか?事件後その人たちは何を感じどうなっていったのか?と言う部分に主体が置かれているようで一般の推理小説とは趣を異にする。
おとなの男女の思いが交錯する中、こう言う小説にはありがちなシーンは無く妙に新鮮で、それだけにそれぞれの人の"思い"が純粋に感じ取れる気がした。
読むきっかけを作ってくれたコラムには「名残の火」が紹介されていたが私は「てのひらの闇」(1作目)の方が好きだ。

てのひらの闇 (文春文庫)

てのひらの闇 (文春文庫)

名残り火 (てのひらの闇 (2))

名残り火 (てのひらの闇 (2))