紙の中の利休

新利休

新利休 1986年発売 新富士製紙(現 王子特殊紙
テクスチャペーパーで商品名に「新」がつく紙は多いが、ほとんどの場合以前あった紙の新しいヴァージョンだ。例えばアトモス新アトモスのように同じメーカーのものだったり、「新鳥の子」や「新だん紙」のように昔からある和紙の洋紙版だったりする。しかしこの新利休は「利休」と言う紙が有ったわけではない、「新」がつく紙の中では珍しいパターンだ。
この新利休、何故「利休」なのか私にとっては長い間解らなかったのだが、この前のおでかけペーパーボイスで謎が解けた。茶室の壁のイメージだそうだ。我流でお茶はするものの、恥ずかしながら茶室には入ったことがないのでその壁がどんなものかよく分からないがそれでも「あぁなるほど」とうなずける感じではある。
紙自体はライン模様の片面エンボスで所々に粗挽きの古紙がブレンドされている。エンボスは片面でも裏側からもしっかりラインがわかる。冊子の表紙やカバー、帯、見返しなどでよく見かける紙だ。比較的個性の強い紙だが、廃色を出すこともなく今も売れ続けているのはたいしたものだ。
それはこの紙の中に封じ込められた和の雰囲気が、私達日本人の心の中のなにかと共鳴するからかも知れない。