ただの白い紙

波光 1967年発売 特種製紙(現 特種東海製紙
昨日のエスティパースさんからのもう一つの写真は「洋館風住宅」。こちらは「波光を使用した」とコメントがついていた。
波光は、一見ただの白の紙だ。よく見ても、まぁただの白い紙。はずかしながら最近になってやっとこの紙の良さが分かってきた。
波光の開発のきっかけは、越前の手漉き和紙の風合を機械抄きで再現しようと言うことだったそうだ。光に透かしてみても、新局紙のような抄きムラはなく、紙の地合いは概ね(おおむね)均一なのだが、平らに見える表面の微妙な凹凸が和紙の雰囲気を漂わせている。
品名は漢和大辞典の漢詩にあった「波光湛碧冷無痕」から取ったそうだ。この漢詩を解説したサイトが無いかと探してみたが見つからなかった。解らないままでは悔しいので、バラバラにして読み仮名をふってみた。
「波(なみ)」「光(ひかり)」「湛(たたえる)」「碧(あお・あおみどり)」「冷(つめたい)」「無(ない)」「痕(あと)」
「波の光はなんの痕も無く冷たい碧さを湛えている」とかそんな感じだろうか?
漢詩に詳しい人教えてください)
白くて平らだが内に躍動感を秘めた紙の雰囲気に「波光」の名はよくあっている。(漢詩解らなかったけど)
新局紙もそうだが、和紙風の紙に活版で印刷すると良い味が出る。文字や図柄が微妙に凹んでいる様子が、紙全体に人の手の暖かさを感じさせる。その凹んでいる感じが気になってよく見てみると、今まで気付かなかった紙の凹凸や柔らかさや堅さを発見してその紙の良さを再認識する。
波光は「白い紙」だが「ただものではない」のだ。