モヤモヤに惚れ惚れ

新局紙 白

新局紙 1962年発売 特種製紙(現 特種東海製紙
私が自分の名刺に初めて選んだ紙は新局紙だ。
一見普通の白い紙だが、よく見ると紙の地合いがモヤモヤしていて良い味を出している。今なら恐らく活版で印刷しただろうが当時はそこまで思いつかなかった。
新局紙は、局紙をお手本に作った紙だが、では局紙って何?って思うだろう?!
局紙は明治初期、大蔵省内の印刷局抄紙部で、和紙で使われるミツマタを原料として作られた紙だ。印刷局で作ったから「局紙」、とても分かりやすい。
紙の歴史を調べたことのある人なら、局紙というと模造紙をセットで思い浮かべるのではないだろうか?模造紙は名前の通り模造した紙なのだが、何をお手本にしたかというと、ヨーロッパの「Simili Paper」と言う紙だ。この「Simili Paper」実は「似せた紙」と言う意味なのだが、あれ?模造紙がお手本にしたSimili Paperは更に何かをお手本にしていたの?と思うだろう?!そう、それが局紙だ。あらあら、局紙が絡むと模造のオンパレードだ。しかしそれは局紙がそれだけ魅力のある紙だという証明だ。
新局紙も、そんな魅力あふれる局紙をお手本にしている。
「和」でもなく「洋」でもない、明治時代のモヤモヤした雰囲気をそのままギュッと詰めこんで、それでいてなにくわぬ顔をしてチョットすましたところがなんとも言えずほれぼれする。
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写真は光に透かしています。