崩れない城

サーブル クリーム

サーブル 1959年発売 特種製紙(現 特殊東海製紙)
私がこの業界に入った頃に「サーブルは砂と言う意味だヨ」と教えてもらった。今日サーブルを書こうとしてあらためて考えてみると英語で砂は「Sand」だ、じゃぁサーブルは何語?いやいや、だいたいサーブルが砂というのは本当なのか?ちょっと不安になった。調べてみると「Sable」はフランス語だそうで辞書にもしっかり載っていた。二十数年調べもせずに鵜呑みにしていたことの裏付けがやっと取れたわけだ。
サーブルが発売された1959年はまだまだ日本のテクスチャペーパーの黎明期だ。その頃、アメリカで白系のテクスチャペーパーがたくさん出ていてエグシェルフィニッシュと言うのが比較的メジャーなのでそんな紙を作りたいと言うのがサーブル開発の発端だったらしい。「エッグシェル」はつい2日前にスーパーファインエッグシェル-FSの時に卵の殻と書いたばかりだが、サーブルの資料によると「卵の殻を粉々に割って並べたような細かい皺(シボ)」と書いてある。卵の殻そのものと言うわけではないようだ。
さて試行錯誤の後にできた紙はエグシェルとはかなり違うものの、良い感じなので発売することになった。その際紙の肌が砂目模様なのでサーブルと名付けたそうだ。
そんなサーブルもすでに50歳を越え、スノーホワイトとクリームの2色だった物が現在はホワイトとナチュラルを加えて4色、スノーホワイトにはキク判もあってA列化の波にもしっかりのっている。
もろく崩れやすい印象の「砂」と言う名を与えられた紙も、今やしっかりと足場の固まった城を築き上げている。