みぞれ雪

ルーセンスはな

ルーセンスはな 1992−2001年 特種製紙
LUCENT(透明)をもじったルーセンス、ルーセンス・トーメイシリーズができた時はこれはスゴイと思った。半透明の代表であるトレーシングペーパーはカール(反る)したり波打ったり、折ると割れたり、なかなか扱いにくい。トレーシングは紙の繊維を細かくすりつぶすことで半透明になっているのだが繊維が細かいために色々な弊害が出る。それに対してルーセンス・トーメイシリーズは特殊な薬品で紙を半透明にしている。紙に食用油を垂らすと透けて見えるのと同じような原理だ(もちろん油を垂らしているわけではないが)。そのためトレーシングのようなパリパリとした感じはなくしっとりしなやかで扱いやすい。
昨日紹介した江戸小染はなの半透明版、ルーセンスはなはルーセンスシリーズの文字通り花形的存在で私の大好きな紙(またか!?)のひとつだった。はんなりとしたそのたたずまいは着物を着た女性のような色気があり白1色しか無い商品だったが大変華やかだった。2001年にお色直しして少し白くなりルーセンスJr.はな に名称変更したのだが、2005年には廃品。
下に敷いた紙の絵柄、本紙の裏側から印刷した絵柄、おもてに印刷した絵柄、そして紙自体の花柄、4つを組み合わせて楽しめるルーセンスはなは、おもしろい存在だったのだがみぞれ雪のようにとけてなくなってしまった。