キリンの紙

パルテノンクリーム

パルテノン 1953年 特種製紙
このところギリシャ神話ばかりだと言われそうだが最後にもうひとつ、パルテノン。
この紙は元々は、戦前に良く売れた亀甲模様を透かしで作ろうというところから走り出したらしいが、技術的な問題部分を解決していくと、出来上がったのは亀甲模様ではなく大理石柄になったという商品だ。大理石の英語「MarbLe」はすでにMLファイバーで使ってしまっているので、ギリシャの神殿が大理石を使っていたことからパルテノンと命名したそうだ。
紙の表面はMLファイバーと同じように非塗工でツルツルスベスベした半光沢、115kgと160kgの2連量。以前は5色だったが現在は、白、クリーム、水浅黄の3色だ。よく見ると亀甲柄が崩れたようにも見える。
紙名手配のスタッフの1人はこの柄を見て「キリンのようだ」と言う。ん?キリンは水玉じゃなかったっけ?と思ったらそれはジャガリコのキリンだった。本物はなるほどパルテノンと良く似ている。しかし私はプールや砂浜など、水底の光と影の印象だ。
そこでふと考えた。キリンと言うのだから彼女にとってパルテノンのイメージカラーはクリームだろう。私は水の底なのでイメージカラーは水浅黄だ。あたりまえかも知れないが、紙を見たときに印象に残る色、その紙をイメージする色は人によって違うのだと再認識した。