古紙配合率偽装事件

年賀はがき古紙配合率偽装にのニュースを聞いて、古紙の逼迫している現状を考えると ありそうな話 だと思った。しかし、10年近く前からコピー用紙や一般印刷用紙についても偽装していたとなると「できごころ」ではすまない。再生紙が環境に良いか悪いかは別として、それ以前に製紙メーカーだけでなく紙業界全体の信用の問題だ。
古紙は、一度使った紙を人の手で集め、異物(ステープラーや糊)を除去し、脱墨(インキをとる)して再生紙となる。また、一度紙になった物を再び溶かして使うのだからパルプの繊維自体も劣化している。劣化した繊維で一度インキの着いたものを使って紙を作るのだから、薄くて白い紙...一般に良く目にする印刷用紙やコピー用紙を作るのは困難だ。板紙(ボール紙などパッケージなどに使われる厚い紙)の方が古紙の利用率が高いのはこのあたりに理由がある。(今、日本からドンドン古紙を買っていく中国はほとんどこの用途で使っている)
一般に再生紙が話題になり始めた十数年前は、一般の紙より再生紙の方が高かった。当時は中古の電化製品と同じような認識の人が多く、再生紙の方が高いことを説明するのに苦労した。それがいつの間にか他の紙と同じ価格になった。
また、「再生紙で真っ白の紙」と言う要望もよく聞いた。「それは考え方間違ってますよ」と思いながらお客様には言いづらかった。我々紙を販売する者が受ける要望「再生紙で安くて白い物」はメーカーも同じように受けていたのだろう。そのできない要望に対して今まで嘘で答えていたわけだ。
この際だからできないことはできないと言うべきだ。
古紙配合率をOO%にすると価格はxx%高くなります。とか、この品質を保つには古紙配合率はOO%が限界です。と言うようなメーカーの見解を正しい数字で公表した方が良い。品質と価格を見て判断するのはユーザーなのだ。